2007年度の全日本吹奏楽コンクール課題曲として登場し、今なお多くのバンドに愛されている吹奏楽作品、それが高木登古作曲のマーチ「ブルースカイ」です。
青空を思わせる爽やかさと、吹奏楽ならではのエネルギーに満ちたこの作品について、今回はご紹介します。
基本情報
作品名 | マーチ「ブルースカイ」 |
作曲者 | 高木登古 |
作曲年 | 2007年 |
編成 | 吹奏楽(大編成・小編成対応) |
演奏時間 | 2分50秒 |
「ブルースカイ」は、その名の通り晴れ渡った空のように明るく、伸びやかな印象を持つマーチです。
冒頭のファンファーレは堂々とした雰囲気で始まり、テンポの良い行進曲が続きます。中間部ではやや抒情的な旋律が現れた後、再び主題に戻り、力強く締めくくられて終わります。
随所に表れる細やかなアクセントやリズムの変化が、青空に浮かぶ雲のように曲に立体感を与えており、演奏者にとっても聴衆にとっても聴きどころの多い構成となっています。
作曲の裏話
実はこの曲の構想は、作曲者がまだ高校生だった頃にさかのぼります。
高木氏は高校3年のとき、松尾善雄氏作曲の「ハロー!サンシャイン」を演奏し、その経験が「こんなマーチを書いてみたい」という原点となったそうです。
メロディの下地はすでに10年以上前に作られており、当時は小室哲哉氏の音楽講座を受講しながら書き進めていたとのこと。その後、2005年頃に本格的なオーケストレーションを施し、晴れて課題曲として採用されました。
また、曲中にはフレデリック・フェネルの演奏から着想を得たアクセントの工夫も盛り込まれており、G6やH6小節の3拍目には独特の“キメ”が仕掛けられています。
エンディングにもこだわりが。最後の小節でピッコロと1stフルートが沈黙しているのはなぜか?という質問に、高木氏は「大人のしゃれです」とコメント。ちょっとした遊び心も、この作品の魅力の一つです。
2024年、「完全版」が登場
2024年、高木氏自身の手でブラッシュアップされた「マーチ・ブルースカイ(2024)完全版」が新たにリリースされました。
これは初期の構想に立ち返り、オーケストレーションの再構築や細部の修正が施された“本来の形に近い”バージョンです。
新版は大編成と小編成の2種類があり、Piascoreを通じて楽譜を購入することができます。
まとめ
「ブルースカイ」は、課題曲としての役割を超えて、今もなお多くの吹奏楽団に親しまれています。
演奏効果が高く、バンド全体のサウンドを生かせる構成でありながら、爽やかな雰囲気とエネルギーに満ちた音楽が、聴衆の心を惹きつけます。
今後の演奏会やコンクールで取り上げる楽曲を探している方にとって、この「ブルースカイ」は間違いなく候補の一つになるでしょう。