吹奏楽の世界には独特の専門用語がたくさんあります。
この記事では、初心者の方でも理解できるように、よく使われる吹奏楽の専門用語を分かりやすく解説します。
演奏技術から楽譜の記号、合奏に関する用語まで幅広くカバーしていますので、吹奏楽部に入ったばかりの方や、これから吹奏楽を始める方の参考になれば幸いです。
基本用語
アンサンブル(ensemble)
複数の奏者が集まって演奏すること。少人数の場合はスモールアンサンブルと呼ばれることも。
バンド(band)
吹奏楽団を指す言葉。日本では「吹奏楽部」や「ウインドオーケストラ」とも呼ばれます。
コンダクター(conductor)
指揮者のこと。音楽の流れやテンポ、強弱などを指示する重要な役割を担っています。
スコア(score)
すべての楽器のパートが記載された総譜のこと。通常、指揮者が使用します。
パート譜(part)
各演奏者が持つ、自分の楽器のみの楽譜のこと。
楽器セクション
ウッドウインド(woodwind)
木管楽器のセクション。フルート、オーボエ、クラリネット、サクソフォーン、ファゴットなどが含まれます。
ブラス(brass)
金管楽器のセクション。トランペット、ホルン、トロンボーン、ユーフォニアム、チューバなどが含まれます。
パーカッション(percussion)
打楽器のセクション。ティンパニ、スネアドラム、バスドラム、シンバル、マリンバなど様々な楽器が含まれます。
音楽表現と演奏技術
アーティキュレーション(articulation)
音の出し方や切り方のこと。スタッカート(短く切る)やレガート(滑らかにつなげる)などがあります。
クレッシェンド(crescendo)
だんだん音を大きくしていくこと。楽譜では「<」の記号で表されます。
デクレッシェンド(decrescendo)/ディミヌエンド(diminuendo)
だんだん音を小さくしていくこと。楽譜では「>」の記号で表されます。
フォルテ(forte)/ピアノ(piano)
フォルテは「強く」、ピアノは「弱く」という意味。それぞれ f と p で表記されます。
- ff(フォルティッシモ):とても強く
- mf(メゾフォルテ):やや強く
- mp(メゾピアノ):やや弱く
- pp(ピアニッシモ):とても弱く
テンポ(tempo)
曲の速さのこと。
- アレグロ(allegro):速く、快活に
- アンダンテ(andante):歩くような速さで
- モデラート(moderato):適度な速さで
- ラルゴ(largo):広々と、ゆっくりと
リズム(rhythm)
音の長短や強弱の時間的配列のこと。
タンギング(tonguing)
管楽器で舌を使って音を区切る奏法。
- シングルタンギング:「タ・タ・タ」と一回ずつ舌を使う
- ダブルタンギング:「タ・カ・タ・カ」と舌の前と後ろを交互に使う
- トリプルタンギング:「タ・カ・タ・タ・カ・タ」など三連符の形で舌を使う
ビブラート(vibrato)
音の高さや強さをわずかに揺らして表情をつける奏法。
スラー(slur)
連続する複数の音を区切らずに滑らかに演奏すること。楽譜上では弧状の線で表されます。
アクセント(accent)
特定の音を強調すること。楽譜では「>」の記号で表されます。
合奏と練習に関する用語
チューニング(tuning)
楽器の音程を合わせること。通常はA(ラ)の音(442Hz)に合わせます。
インタビ(interval)
音と音の間隔のこと。
ハーモニー(harmony)
複数の音が同時に鳴ることで生まれる和音や響きのこと。
バランス(balance)
各パートの音量のバランスのこと。合奏では常に意識すべき重要な要素です。
ブレンド(blend)
複数の楽器の音色が調和して一体化すること。良い合奏には欠かせません。
ピッチ(pitch)
音の高さのこと。「ピッチが高い」「ピッチが合っていない」などと表現します。
インテンション(intention)
音楽表現における意図や目的のこと。「このフレーズはどういうインテンションで演奏するか」などと使います。
フレージング(phrasing)
音楽のフレーズ(一まとまりの旋律)をどう表現するかということ。呼吸や強弱の付け方などが含まれます。
吹奏楽コンクールに関する用語
課題曲(required piece)
コンクールで全参加団体が演奏する指定された曲のこと。
自由曲(free choice piece)
コンクールで各団体が自由に選択して演奏する曲のこと。
金賞/銀賞/銅賞(gold/silver/bronze award)
コンクールでの評価区分。審査員の採点によって決まります。
シード団体(seeded band)
前年度の成績などにより、予選を免除されて本選に出場できる団体のこと。
特殊奏法
フラッタータンギング(flutter tonguing)
舌を震わせて「rrr」のような音を出す奏法。主に木管楽器で使われます。
グリッサンド(glissando)
ある音から別の音まで滑らかに移動する奏法。
マルチフォニックス(multiphonics)
管楽器で一度に複数の音を出す特殊な奏法。
ハーフステップ/ホールステップ(half step/whole step)
半音階と全音階のこと。キーボードでは、ハーフステップは隣り合う鍵盤(例:ドとド#)、ホールステップは一つ飛ばした鍵盤(例:ドとレ)の間隔です。
まとめ
この吹奏楽用語辞典が、初心者の方々にとって吹奏楽の世界をより理解するための助けになれば幸いです。吹奏楽には他にも多くの専門用語がありますが、まずはこれらの基本的な用語を理解することで、レッスンや練習、演奏会などをより充実したものにしていただければと思います。