吹奏楽部に入ったけれど、「何から始めたらいいかわからない」「楽器の音がきれいに出ない」と悩む初心者は多いものです。吹奏楽は、1人ではなく仲間と音楽を作り上げていく活動。だからこそ、基礎を丁寧に身につけることが、将来の上達や合奏の楽しさに直結します。
本記事では、吹奏楽部に入部したばかりの初心者が「迷わず練習に取り組めるように」、基礎練習メニューから上達のコツまでをわかりやすくまとめました。中学生・高校生はもちろん、指導に悩む顧問の先生や保護者の方もぜひ参考にしてください。
吹奏楽初心者にまず必要な心構え
音を出すより「聴く」ことを大切に
初心者のうちは「音を出すこと」ばかりに意識が向きがちですが、実は「耳を鍛えること」がとても重要です。良い音を知ることで、自分の音を客観的に聴く力が育ちます。プロの演奏や、上手な先輩の音にたくさん触れることが、上達の近道です。
練習の目的を常に意識する
「今日はロングトーンで息の流れを安定させる」「このスケールは指の動きを滑らかにするため」といったように、目的を意識して練習すると、成果が見えやすくなります。
楽器の扱いとマナーを早めに覚えよう
楽器の持ち方、ケースの開け閉め、手入れ方法など、基本的なマナーを早めに覚えておくことは信頼にもつながります。初心者ほど、丁寧な楽器の取り扱いを心がけましょう。
毎日やるべき基礎練習メニュー
吹奏楽の土台となるのが、以下の基礎練習です。どの楽器でも共通する部分が多く、毎日の積み重ねが演奏力を育ててくれます。
呼吸練習(ブレストレーニング)
楽器演奏は息のコントロールが命。ストローを使った腹式呼吸や、4拍吸って8拍吐く練習など、毎日数分でも継続することで安定した音に近づきます。
ロングトーン(息の流れと音の安定)
1音をまっすぐ伸ばす練習。鏡を見ながら姿勢とアンブシュア(口の形)をチェックしつつ、まっすぐで芯のある音を目指します。
スケール練習(指の動きと音感の向上)
音階練習は、指のスムーズな動きだけでなく、音程感覚を育てるのにも効果的です。最初はゆっくり、ミスを恐れずに丁寧に練習しましょう。
リズム練習(全楽器に共通)
メトロノームを使ってのリズム練習は必須です。4分音符、8分音符、3連符など、さまざまなリズムを正確に刻む力は、合奏での信頼にもつながります。
楽器別・初心者向け練習ポイント
楽器ごとに押さえておくべき基礎のポイントをご紹介します。
- フルート:アンブシュアの形と息の角度が音に直結します。最初は音が出なくても、鏡を見て確認しながら吹きましょう。
- クラリネット:リードのセッティングが命。毎日リードの状態をチェックし、無理に強く吹かないように。
- サックス:口の形と息の流れのバランスが大切。下唇でリードを支える感覚を掴みましょう。
- トランペット/ホルン:唇の振動(バズィング)練習が効果的です。マウスピースだけで音を出す練習も取り入れてみてください。
- トロンボーン/チューバ:スライドの正確なポジションや、口の柔軟性を高めるリップスラーが効果的です。
- 打楽器:スティックの持ち方、振り方を基本から確認。メトロノームに合わせての練習でリズム感を鍛えましょう。
合奏練習で意識すべき3つのこと
1. 指揮を見る
合奏では、指揮者の動きをしっかり見ることが大前提。出だしやテンポ変化、強弱の指示など、音だけでなく視覚でも音楽を捉えましょう。
2. 周りの音を聴く
自分のパートだけでなく、他の楽器とのバランスも大切です。特にハーモニーを作る際には、内声やベースの音をよく聴いて合わせる意識を持ちましょう。
3. スコアの理解を深める
可能であれば、指揮者や顧問の先生から楽譜の構成(スコア)について教わる機会を持ちましょう。自分のパートが全体の中でどういう役割をしているかを知ると、音の出し方が変わってきます。
上達のための習慣とモチベーション維持
練習ノートをつけよう
「今日やったこと」「できたこと」「うまくいかなかったこと」を簡単にメモする習慣をつけると、自分の成長が見えやすくなります。
好きな演奏をたくさん聴こう
プロの演奏やコンクール常連校の合奏動画など、たくさんの「お手本」に触れることで、自然と良い音のイメージが身につきます。
仲間と教え合おう
同じ楽器の先輩に聞いたり、同級生と練習方法をシェアしたりすることも、実は大きな学びになります。音楽を「楽しむ心」こそ、継続の力です。
まとめ
吹奏楽は、一朝一夕でうまくなるものではありません。毎日の基礎練習を丁寧に積み重ねていくことで、半年後、1年後には驚くほど成長しているはずです。
初心者だからこそ、正しい練習法を知り、楽しみながら演奏力を高めていきましょう。音楽の世界が広がるきっかけになりますように。