「吹奏楽を始めたけれど、楽譜の読み方がわからない…」そんな悩みを抱えていませんか?
吹奏楽の楽譜は、パート譜や移調楽器など、ピアノの譜面とは異なるルールがいくつもあります。特に初心者のうちは、記号や記譜法に戸惑うのはごく自然なことです。
この記事では吹奏楽の楽譜を初めて読む方に向けて、パート譜とスコアの違い、音部記号や拍子記号、強弱・表現記号の意味まで、基本の「5つのポイント」を解説します。
「楽譜って意外とわかるかも」と思えるような第一歩を、ぜひ一緒に踏み出しましょう!
吹奏楽の楽譜とは?パート譜とスコアの違いを知ろう
吹奏楽の楽譜は、一般的なピアノの楽譜とは大きく異なります。なぜなら、吹奏楽は多くの楽器が同時に演奏するため、楽器ごとに楽譜(パート譜)が用意されているからです。
- スコア(総譜):指揮者が使う全楽器の音が一つにまとめられた楽譜
- パート譜:個々の演奏者が使う、自分の楽器の演奏部分だけが書かれた楽譜
最初は自分のパート譜だけを見ながら練習することが多いですが、全体の流れを理解するためにスコアに目を通すことも大切です。
まずはここから!楽譜を読むための基本知識
吹奏楽の楽譜を読むためには、いくつかの基本ルールを知っておく必要があります。
音部記号(おんぶきごう)
- ト音記号(G clef):フルート、クラリネット、サックスなど
- ヘ音記号(F clef):チューバ、ユーフォニアム、バスーンなど
- ハ音記号(C clef):一部の打楽器や上級者向けパートに登場
拍子記号(はくしきごう)
楽譜の冒頭に「4/4」や「3/4」といった記号が書かれており、拍の数と拍の種類を表しています。
- 4/4:1小節に4拍、1拍が4分音符
- 6/8:1小節に6拍、1拍が8分音符
調号(ちょうごう)
楽譜の最初に「♯(シャープ)」や「♭(フラット)」が並んでいます。これはその曲の「調(キー)」を示す印で、演奏する音の高さに影響します。
たとえば、B♭クラリネットでは「C」と書かれていても実際には「B♭」の音が鳴るため、移調楽器としてパート譜が書き換えられています。
吹奏楽特有の演奏記号をチェック!
演奏中に音楽のニュアンスを伝えるために、さまざまな記号が使われています。
強弱記号
- f(フォルテ):強く
- p(ピアノ):弱く
- mf(メゾフォルテ):やや強く
- ff(フォルティッシモ):とても強く
速度や表現の記号
- Allegro(アレグロ):速く
- Andante(アンダンテ):歩くような速さで
- rit.(リタルダンド):だんだん遅く
アーティキュレーション
- スラー:なめらかに演奏
- スタッカート:短く切って演奏
- アクセント:音にアクセントをつける
パート譜の読み方のコツ
休み(休符)の数え方
吹奏楽では、自分のパートに何小節もの休み(休符)が続くことがよくあります。特にホルンや打楽器などは、数十小節にわたって演奏がない場合も。
このとき、ただ待つのではなく、小節ごとに数えながら進行を把握することが大切です。カウントを間違えると、出るべきタイミングで演奏できず、合奏全体に影響が出てしまうこともあるので気をつけましょう。
- 小節番号に丸をつけてチェックしながら数える。
- 指揮者の動きや、周囲の楽器のフレーズに耳を傾けて「今ここだな」と感覚でも掴めるようにする。
- 長い休符の直前に「入り」の目印となる音を覚えておく(例えば「トランペットの高い音のあとに出る」など)。
キュー(Cue)音
パート譜の中には、自分が演奏しないのに小さな音符で他の楽器の旋律が書かれていることがあります。これが「キュー(Cue)」と呼ばれるもので、合奏の中での入りの目印やタイミング確認のために非常に役立ちます。
たとえば「自分は8小節休んでから入る。でもその前にクラリネットが特徴的な旋律を吹いている」→ キューとしてその旋律が書かれていれば、それが「そろそろ自分の出番だ」と知らせてくれるサインになります。
- キュー音は音の高さより「リズム」や「フレーズの形」を覚える。
- 練習中に「この音が聞こえたら自分が入る」と体で覚えておく。
- 他パートの演奏を音源やスコアで聴いておくと、キューの理解が深まる。
繰り返し記号の読み取り
吹奏楽の楽譜には、曲の構成をコンパクトに書くために繰り返し記号が頻繁に使われます。これらを正しく理解しないと、間違った場所を演奏してしまう原因になります。
主な繰り返し記号と意味
- D.C.(ダ・カーポ):「曲の最初に戻る」
- D.S.(ダル・セーニョ):「セーニョ記号の位置に戻る」
- Fine(フィーネ):「ここで曲が終わり」
- Coda(コーダ):ジャンプして曲のエンディング部分へ飛ぶ目印
- To Coda:「ここからコーダへ飛びますよ」のサイン
- 最初に楽譜をパラパラと見て、繰り返しの位置を確認しておく。
- 複雑な場合は鉛筆で「→ここに戻る」「ここで終わり」など自分なりのメモを入れる。
- D.C.とD.S.は見落としやすいので、赤丸などで目立たせておくと安心。
これらのポイントを意識してパート譜を読むと、合奏でのミスを減らせるだけでなく、「曲の流れ」や「自分の役割」も見えてくるようになります。慣れてくれば、「聴く・見る・感じる」で自然に読めるようになります。
楽譜の読み方を身につける練習法
「見る → 聴く → 演奏する」の順で練習すると、自然と読譜力が身につきます。
最近は YouTubeなどに演奏動画があるため、活用しながら譜読みや練習をするのがおすすめです。
- 簡単な曲を選ぶ(例:校歌や行進曲)
- 音源を聴きながら譜面を追う
- 自分のパートだけ演奏してみる
- 指揮動画で合奏の流れを確認する
よくあるつまずきポイントと対処法
つまずきポイント解決法 | |
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リズムがわからない | 手拍子やリズム打ちで確認しよう |
調号を見落とす | 楽譜の冒頭を必ず確認する習慣をつける |
記号が多くて混乱する | よく出る記号をノートにまとめて覚える |
まとめ
最初は記号だらけの楽譜に戸惑うかもしれません。でも、少しずつ慣れていけば、楽譜は「音楽の言葉」として自然に読めるようになります。
吹奏楽は仲間と音楽をつくる楽しさが魅力です。楽譜が読めるようになると、その楽しさはさらに広がります。焦らず、一歩ずつ学んでいきましょう!